Murasakinohana’s diary

トムのお話

映画『ノマドランド』

映画『ノマドランド』NOMADLAND

 

ネタバレの内容が含まれていますので、ご注意ください。

 

映画を観たその夜、私は衝撃を受け、とりとめもない考えが出てきてしまい、なかなか寝付くことが出来ませんでした。

 

何故かというと、最近考えていたことがありました。それは、長生きに伴うリスクはなんだろう、何を今から準備をしていけばいいのか、ということです。自分なりに出していた答えを、ひっくり返されたように思えてしまったのです。

 

衝撃受けたのですが、何か大きな展開がその映画での中で起こったかというと、そうではありません。あらすじは、企業城下町を支えてきた大企業が倒産し、街がなくなります。その街の郵便番号さえなくなります。夫を病気で亡くした主人公のファーンが、社宅がなくなり、その町での仕事も失います。車上生活をしながら、短期の季節労働をし、移動し、多くのノマド(現代の遊牧民車上生活者)に出会っていくロードムービーです。どちらかというと淡々と物語が進んでいきます。

 

この主人公は、もしもの準備をおこたっていたと言えばそうですが、そこで年金の受給や、親戚の家での生活を選ばず、季節労働者として移動し、車上生活をしていきます。

 

ノマドの中の一人の男性は自分の子供が迎えに来て、彼はその家族と仲良く田舎暮らしを始めました。ファーンに好意があり、感謝際に彼女を招待し、一緒にその家で生活しようと提案をしてきます。アメリカの田舎の家で、敷地が広く、離れもあります。二人が暮らそうと思えばできるのです。そこには屋根の下の快適なベットもありますが、ファーンは息が詰まりそうになり、自分の車のベッドに戻り、そのままそこを離れて、元の車上生活にもどります。

 

妹にも、一緒に暮らそうと言われましたが、それも断りました。

 

車上生活には最期のサヨナラはなく、また路上であおうと言うだけ。「see you on the road」とノマドは挨拶をして、次の場所へ移っていきます。

 

そんな映画を観た夜、私は眠りつくことができなくなりました。

 

私が長生きリスクに備えるのは何のためなんだろう。多分、最期のときまで、自分が自分でいるための準備なんだろうと思う。

 

もし、それがノマドなら、それはそれで良い。

 

映画『ノマドランド』予告編

https://youtu.be/89a0cFJypww